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ガセットプレートとスプライスプレートの違い|役割と図面の確認ポイント

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結論 — 役割は形ではなく接合の用途と図面で確認します

ガセットプレートは、ブレースやトラス材などを節点で接合する鋼板、スプライスプレートは部材の継手を構成する添え板です。見た目だけで区別せず、構造図と接合詳細で部材の役割、材種、ボルト・溶接の仕様を確認します。

  • 建築基準法施行令第67条は、構造耐力上主要な鋼材の接合方法と継手・仕口の構造方法を定めていますが、完成後の全接合に共通する「一側面2本以上」というボルト本数は定めていません。
  • 同令第68条の「径の2.5倍以上」はボルト等の中心距離であり、本数の規定ではありません。
  • 公共建築工事標準仕様書の「2本以上」は、該当契約の現場建方で使う仮ボルトの条件です。本接合の設計本数とは分けて読みます。

板の名前は、どの部材をどのようにつなぐかを表すものです。接合方法、寸法、ボルト本数、溶接寸法は、部材名だけから決められません。構造図・接合詳細・適用する仕様書を照合してください。

結論:形状ではなく接合の役割と図面で確認する

ガセットプレートはブレースやトラス材などを節点へつなぐ接合板、スプライスプレートは部材の継手を構成する添え板として使われます。どちらも鋼材の接合に使われますが、形状や突出の有無だけを一律の判別条件にはできません。

一つの鉄骨フレームに両方の板が使われることもあります。例えばメーカーのブレース取付図は、ガセットプレートとスプライスプレートを別部品として示しています。実際の部材符号と荷重の流れは、その建物の構造図・詳細図で確認します。

ガセットプレートとスプライスプレートの役割

何をつなぐかを確認する

スプライスプレートは、梁や柱などの部材の継手で、部材端同士を接合する添え板として使われます。ガセットプレートは、ブレースやトラス材など複数方向から集まる部材を節点で接合する鋼板として使われます。いずれも具体的な形状と力の伝達方法は、断面・荷重・接合形式に応じて設計されます。

役割の違いは「同じ方向か、異なる方向か」という見た目だけでは確定できません。JFEスチールのH形鋼梁継手設計例も、部材断面・鋼種・継手性能に応じてボルト数や添板寸法を組み合わせています。

現物の形だけで判定しない

現物を確認するときは、構造図の部材符号、継手・仕口の詳細図、プレート符号、部材端の位置を照合します。併せて、ボルト接合か溶接接合か、指定された鋼種・板厚・孔位置が納品書や製作図と合うかを確認します。

突出している、部材に沿っている、板が重なっているといった形状は手掛かりになりますが、それだけで機能を決めることはできません。図面と現物が一致しない場合は、現場で寸法や接合方法を推測して変えず、設計図書と製作図の差を確認します。

スプライスプレートと高力ボルト接合

スプライスプレートを使う継手では、接合する部材、鋼種、板厚、ボルトの種類と配置、摩擦面の仕様などを一体の設計として確認します。建築基準法施行令第67条は構造耐力上主要な鋼材の接合方法と継手・仕口の構造方法を定め、具体的な構造方法は平成12年建設省告示第1464号等によります。

告示第1464号はボルト等の縁端距離や高力ボルト摩擦接合部の摩擦面などを規定しています。必要な寸法や接合耐力は、鋼材の種類、縁端の加工、接合形式、構造計算の条件で変わります。

ボルト本数・間隔・縁端距離の根拠

施行令第67条と告示第1464号には、完成後の全ての鉄骨継手に一律で適用する「一側面2本以上」という本接合ボルトの本数規定はありません。本接合の本数と配置は、構造図・構造計算・接合詳細で定められた条件を確認します。

施行令第68条は、高力ボルト・ボルト・リベットの相互間の中心距離を径の2.5倍以上としています。告示第1464号は、ボルト径と鋼材の縁端の種類に応じて縁端距離を定めています。中心距離と縁端距離は別の寸法です。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版を契約仕様として適用する場合、7.10.5(2)は建方に用いる仮ボルトを1群の本接合ボルト数の3分の1以上かつ2本以上とし、(3)は対象となる柱梁接合の混用接合・併用継手で2分の1以上かつ2本以上としています。これは建方中の仮ボルトの条件で、完成後の本接合に対する一律本数ではありません。

肌すきとフィラープレート

フィラープレートは、接合部の材厚差などで生じる隙間を調整する鋼板です。構造継手の添え板と同じ部材ではありませんが、接合部の一部として扱います。フィラーを「荷重を負担しない板」と一律にみなすこともできません。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版7.4.1が適用するトルシア形高力ボルト又はJIS形高力ボルトの摩擦接合では、7.4.6(2)により、材厚差等で1mmを超える肌すきがある場合にフィラープレートを入れます。同仕様書7.4.2(4)はフィラーを鋼板とし、摩擦面処理を定めています。この条件は同仕様書を採用する摩擦接合の施工条件です。ほかの接合は契約図書と設計を確認します。

ガセットプレートの力の伝達

ガセットプレートを介する接合では、ブレースやトラス材などから伝わる力を、設計された接合部を通じて他の部材へ伝達します。板厚、ボルト配置、溶接部、接合部周辺の構造は、部材力と構造計算に応じて決まります。「荷重を広く分散する」と一律に説明するより、構造図と計算書で力の経路を確かめることが大切です。

施行令第67条第2項は、構造耐力上主要な継手・仕口について、その部分の存在応力を伝えられる構造方法を求めています。現場で板の形や接合長を変更せず、変更が必要な場合は設計者・監理者の確認を得てください。

溶接脚長・有効長・突出寸法

溶接脚長や溶接長さは、設計図書の溶接記号、接合部詳細、採用する施工仕様で確認します。ガセットプレートの突出距離に全国共通の一律値があるという根拠は確認できません。プレートの形、接合する部材の位置、必要な溶接長は、設計ごとに異なります。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版7.6.7(4)(ア)では、隅肉溶接の施工長さを、有効長さに隅肉溶接サイズの2倍を加えた長さとしています。これは同仕様書を採用する工事の施工条件です。溶接サイズや有効長そのものを一律に決める値ではありません。

ブレースの接合部を設計図で確認する

ブレースの接合では、部材符号、ガセットの板厚・形状、ボルト孔または溶接記号、接合する柱梁側の詳細を対応させて確認します。施工前の確認項目は、図面で指定された材種・板厚・ボルト・溶接寸法を現物と照合し、溶接検査や高力ボルト締付けの方法を適用仕様に合わせることです。

特定の製品や工事の設計例にある「せり」寸法、脚長、ボルト本数を、別の建物へそのまま適用しないでください。JFEスチールのブレース接合資料も、掲載した形状・寸法を当該設計例の条件として示しています。

現場での確認手順

鋼板を受け入れたり接合部を検査したりするときは、名称だけで合否を判断せず、次の事項を設計図書・製作図・適用仕様と照合します。

  1. 部材符号と接合詳細を照合し、ガセット・スプライスの役割と取り付け位置を確認する。
  2. 鋼種、板厚、寸法を図面・材料証明書・現物の表示で照合する。
  3. ボルトの種類、本数、配置、中心距離、縁端距離を設計条件と照合する。
  4. 高力ボルト摩擦接合では、摩擦面処理と隙間の扱いを適用仕様で確認する。
  5. 溶接接合では、溶接記号、サイズ、有効長、施工条件、必要な検査を適用仕様で確認する。
  6. 本接合と建方中の仮ボルトを区別する。仮ボルトの本数条件を本接合の規定として転用しない。

鋼板の概算質量と揚重

鋼板の概算質量は、板厚(mm)×面積(m²)×7.85 kg/(mm・m²)で見積もれます。JFEスチールの鋼板単位質量表は、板厚に基本質量7.85 kg/(mm・m²)を乗じる計算を示しています。めっき鋼板では、メーカーの製品資料が示すようにめっき量が別に加わる場合があります。これは板材の公称値による概算で、製品公差、塗装、形状や付属品を含む実際の吊り荷重量とは異なる場合があります。

揚重計画には、対象物の実重量、吊り点、重心、吊り具、作業半径、クレーンの条件を用います。概算式だけで吊上げ能力や作業回数を決めないでください。

施工管理で照合する項目

施工計画や検査記録に記す具体項目は、工事の契約図書と品質計画に合わせます。公共建築工事標準仕様書では、材料の種類・寸法は特記による扱いがあり、ボルトの締付け施工法や溶接の確認方法も各条項で区分されています。全工事に共通する一つのチェック表として扱わず、適用する仕様の版と項目を明記します。

鋼材の種類と接合方式

鋼材の種類と接合方式は、板の名称から自動的に決まるものではありません。ガセット・スプライスいずれの部材も、構造設計、使用する鋼材、ボルト接合・溶接接合などの方法、特記仕様に基づいて選定されます。

JIS G 3101・G 3106が示す範囲

JIS G 3101:2024は一般構造用圧延鋼材、JIS G 3106:2024は溶接構造用圧延鋼材を規定しています。公共建築工事標準仕様書令和7年版7.2.1の鋼材表には、G 3101のSS400・SS490・SS540、G 3106のSM400A/B/C、SM490A/B/C・SM490YA/YB、SM520B/Cなどが掲載されています。これは同仕様書の材料一覧で、プレートの呼び名だけから「スプライスはSS400」「ガセットはSM材」と決める規定ではありません。実際の鋼種・形状・寸法は特記によるため、図面と材料証明書を照合します。

令67条・告示1464号・令68条の適用

施行令第67条第1項は、構造耐力上主要な鋼材の接合方法を鋼種に応じて定め、一定の規模等の建築物には戻り止め措置を条件とするボルト接合のただし書があります。第2項は、同部分の継手・仕口が存在応力を伝えられる構造方法を用いることを求め、告示1464号が具体的な構造方法を示します。第68条はボルト等の中心距離と孔径を定めています。条文の条件と、工事で採用する契約仕様・設計図書を分けて照合してください。

よくある質問

最終接合にボルト2本以上が一律に必要ですか?

一律ではありません。令67条、令68条、告示1464号は接合方法、継手・仕口の構造、中心距離や縁端距離などを定めますが、すべての完成接合部に「一側面2本以上」という本数を定めていません。公共建築工事標準仕様書7.10.5の「2本以上」は、同仕様書を適用する工事の建方用仮ボルトの条件です。本接合のボルト本数は構造図・計算書・適用仕様を確認します。

フィラープレートはスプライスプレートと同じですか?

同じではありません。スプライスプレートは部材の継手に使う添え板、フィラープレートは接合部の材厚差などに応じて隙間を調整する鋼板です。公共建築工事標準仕様書7.4節が適用される高力ボルト摩擦接合では、材厚差等で1mmを超える肌すきがある場合にフィラーを入れ、鋼板・摩擦面処理の条件を確認します。

ガセットの溶接寸法に共通値はありますか?

一律の脚長や突出距離はありません。溶接サイズ・有効長・形状は設計図書の溶接記号と接合部詳細で確認します。公共建築工事標準仕様書を採用する場合は、隅肉溶接の施工長さと有効長・溶接サイズの関係など、該当する条項を適用します。

まとめ

ガセットプレートとスプライスプレートは、接合する部材と役割で区別します。突出や密着といった見た目だけで判定せず、構造図と接合詳細で部材符号・材種・ボルト・溶接仕様を確認してください。

  • 令67条は構造耐力上主要な鋼材の接合方法と継手・仕口を扱い、すべての本接合に共通の「2本以上」を定めません。
  • 令68条の2.5dはボルト等の中心距離です。仮ボルト、フィラープレート、溶接の数値は適用仕様の範囲を確認します。
  • 材種・板厚・接合寸法は、構造図・計算書・材料証明書・契約仕様で照合します。

接合部が負担する地震時の力の根拠を確認するときは、地震層せん断力係数Ciと建物の水平力も参照できます。

出典