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建築面積・床面積・延べ面積の違い|定義と容積率不算入

結論 — 建築面積は建物の水平投影の広がり、床面積は各階の区画、延べ面積は各階床面積の合計です。容積率を計算するときは、この延べ面積から法令で定めた部分をさらに除くことがあります。

「建築面積」「延べ面積」「容積率算定用の延べ面積」は同じ値ではありません。バルコニーや吹きさらし廊下の幅2mを床面積に算入しない扱いも、開放条件を満たす場合のものです。どの面積を求めるか、区画の形と使い方、適用する条文を分けて確認します。

法令確認日:2026年11月1日。建築基準法は2026年5月27日施行、建築基準法施行令は2026年11月1日施行の改正を反映したe-Gov現行条文で確認しました。

建築面積・床面積・延べ面積は「何を囲んで足すか」が違う

面積令2条の算定主に関係する指標
建築面積外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲む部分を、水平投影して算定。軒等は別の後退ルールがある建蔽率
床面積建築物の各階またはその一部で、壁その他の区画の中心線に囲まれた部分を水平投影して算定階ごとの面積
延べ面積建築物の各階の床面積を合計容積率の基礎となる面積
建築面積は建物を上から見た輪郭、床面積は階ごとの区画、延べ面積はその合計です。床面積を合計した後、容積率の計算では一部を除くことがあります。面積を拾う前に、図面の表題が「建築面積」「各階床面積」「延べ面積」「容積率算定用延べ面積」のどれかを確かめると、違う数字をそのまま比較する間違いを防げます。

建築面積は外壁・柱の中心線から水平投影する

施行令2条1項2号は、建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線を基準に建築面積を算定します。地階で地盤面上一m以下にある部分は、この号の建築物から除かれます。地盤面は令2条2項の平均高さで定め、周囲の地面との高低差が3mを超える場合は、高低差3m以内ごとの平均高さを使います。名称だけで地階や対象範囲を決めず、断面図で地盤面と部位の高さを照合します。

軒・庇などが外壁や柱の中心線から水平距離1m以上突き出す場合は、原則、その端から1m後退した線で囲んだ水平投影面積を算定します。ただし、高い開放性を持つ構造や、工場・倉庫の貨物積卸し用の特例軒等には別の条件があります。建蔽率の計算に使う建築面積と、一般に建築面積を求める場合で扱いが異なる箇所もあるため、庇の条件は建築面積における庇・軒の扱いで分けて確認してください。

建蔽率は、建築基準法53条1項が定める建築面積と敷地面積の割合です。軒先の投影面積や地階の一部をどう扱うかは、単に「床がある面積」を測る問題ではありません。

床面積は壁などの区画中心線で囲む

施行令2条1項3号の床面積は、各階またはその一部で、壁その他の区画の中心線に囲まれた部分の水平投影面積です。階段・吹抜け・外部に開いた部分など、線をどこに引くかが形状や使い方で変わる場所は、断面と平面の両方を見ます。

昭和61年4月30日住指発第115号は、ピロティやポーチのように壁・扉・柱等がない部分について、屋内的な用途に使うかどうかで床面積への算入を判断すると示しています。ポーチは原則不算入ですが、物品保管など屋内的用途に使う部分は算入します。ピロティも十分に外気へ開放され、屋内的用途がなければ不算入です。

同通知は、外気に有効に開放された高さが1.1m以上、かつ天井高の1/2以上ある吹きさらし廊下について、手すり壁等から幅2mまでを床面積に算入しない扱いを示します。バルコニー・ベランダも吹きさらし廊下に準じます。「2mまで」は開放条件を外して使える一律の控除ではありません。通知自体が地域ごとの取扱いに統一を欠く向きがあったと述べており、さいたま市の公開資料は、隣地境界線まで50cm以上、開放側が面する同一敷地内の他の建築物または当該建築物の他の部分まで2m以上という市の取扱い例も示しています。別の自治体・確認検査機関の案件では、その地域の公開基準や事前相談先を確認します。

延べ面積と容積率算定用の延べ面積を分ける

令2条1項4号の延べ面積は、原則として各階の床面積の合計です。これに対し、容積率算定用の延べ面積は、建築基準法52条などの算定に使う際、条文で定めた床面積を除いた値になることがあります。除外されても、その部分の各階床面積や、原則としての延べ面積そのものが消えるわけではありません。

令2条1項4号と3項は、同一敷地内の建築物の各階床面積の合計を基準に、不算入にできる面積の上限を定めています。なお、この号の不算入は、容積率の最低限度の算定基礎となる延べ面積には適用されません。主な区分は次のとおりです。

部分の用途不算入にできる上限
自動車・自転車の駐車施設(誘導車路、操車場所、乗降場を含む)合計床面積の1/5
防災用の備蓄倉庫合計床面積の1/50
床に据え付ける蓄電池合計床面積の1/50
自家発電設備合計床面積の1/100
貯水槽合計床面積の1/100
宅配ボックス合計床面積の1/100
例えば敷地内建築物の各階床面積の合計が200㎡なら、駐車施設についてこの規定で不算入にできる上限は40㎡です。駐車施設が50㎡あっても50㎡すべてを除けるとは限りません。どの部分が対象用途に当たるかを確認したうえで、上限と比較します。

住宅や老人ホーム等では、法52条3項により、地階で天井が地盤面から1m以下にある対象用途部分の床面積を容積率算定用の延べ面積に算入しない扱いがあります。ただし上限は、その建築物の住宅・老人ホーム等用途の床面積合計から、同条6項各号に掲げる部分を除いた面積の1/3です。「地階部分の1/3」ではありません。また、同条6項は、政令で定める昇降機の昇降路、共同住宅等の共用廊下・階段、条件を満たす設備機械室等を、容積率算定の基礎から除外します。令2条3項の用途別上限と、法52条3項・6項の条件は別々に確認してください。

図面では面積の名前と控除の根拠を残す

私が面積表を確認するときは、まず建築面積・各階床面積・延べ面積・容積率算定用延べ面積を列で分けます。そのうえで、各部分の用途、区画線、水平投影の範囲、適用した除外規定を対応させます。床面積から除かれる部分と、容積率計算でだけ除かれる部分を同じ欄で扱うと、図面を見直したときに根拠を追えなくなるからです。形状や隣地条件が決まっていない段階では、面積を確定値として扱わず、該当する特定行政庁や指定確認検査機関の公開資料・見解を確認します。

庇・軒等の建築面積は1m後退と特例の条件、小屋裏物置の階・床面積と天井高は居室天井高とロフトの取扱いも参照してください。

法令・資料の根拠