学校の階段幅・蹴上げ・踏面の建築基準法上の規定
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学校の階段の幅・蹴上げ・踏面は、建築基準法施行令第23条の表で階段の種別ごとに数値が決まっています。ただし条文の区分は表全体で4つあり、「学校ならすべて同じ数値」ではありません。
先に答え:令23条の表は(一)小学校児童用=140cm以上/16cm以下/26cm以上、(二)中学校・高等学校・中等教育学校の生徒用(または一定規模以上の物品販売店舗・劇場等の客用)=140cm以上/18cm以下/26cm以上、(三)直上階居室200㎡超の地上階または居室100㎡超の地階・地下工作物内=120cm以上/20cm以下/24cm以上、(四)それ以外=75cm以上/22cm以下/21cm以上の4区分です。「大学」は(一)(二)のいずれにも条文上明記されていません。屋外階段・住宅の階段には別途緩和規定があります。
この記事では、令23条の4区分、屋外階段の緩和、踊場(令24条)、中間手すり(令25条)の適用条件を、条文の範囲ごとに整理します。
建築基準法施行令第23条が定める階段の寸法区分
表の4区分と対象
建築基準法施行令第23条第1項の表は、階段の種別を4つに区分しています。
| 区分・対象 | 幅 | 蹴上げ | 踏面 |
| (一) 小学校(義務教育学校の前期課程を含む)における児童用 | 140cm以上 | 16cm以下 | 26cm以上 |
| (二) 中学校(義務教育学校の後期課程を含む)・高等学校・中等教育学校の生徒用、または物品販売業を営む店舗(床面積合計1,500㎡超)・劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場の客用 | 140cm以上 | 18cm以下 | 26cm以上 |
| (三) 直上階の居室床面積合計が200㎡を超える地上階、または居室床面積合計が100㎡を超える地階・地下工作物内 | 120cm以上 | 20cm以下 | 24cm以上 |
| (四) (一)〜(三)以外 | 75cm以上 | 22cm以下 | 21cm以上 |
「大学」「専修学校」は、この表のどの区分にも条文上明記されていません。大学・専修学校の階段は、原則として(三)または(四)の一般区分が適用されると考えられますが、施設の規模・用途によって(三)に該当するかどうかは個別に判断が必要です。「学校だから一律140cm・18cm以下」と決め打ちせず、対象施設が(一)〜(四)のどの区分に該当するかを条文に沿って確認します。
屋外階段・住宅の階段に適用される緩和
令23条第1項のただし書きには、屋外階段と住宅の階段に対する緩和規定があります。屋外階段の幅は、令120条または121条の直通階段では90cm以上、それ以外は60cm以上とすることができます。住宅の階段(共同住宅の共用階段を除く)は、蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上とすることができます。この緩和は「屋外なら常に適用される」ものではなく、対象が屋外階段・住宅の階段であることが前提です。学校の屋外避難階段等に適用できるかは、当該階段が令120条・121条の直通階段に該当するかで個別に判断します。
有効幅の測り方と手すり等の緩和
令23条第3項は「階段及びその踊場に手すり及び階段の昇降を安全に行うための設備でその高さが50cm以下のもの(手すり等)が設けられた場合における第1項の階段及びその踊場の幅は、手すり等の幅が10cmを限度として、ないものとみなして算定する」と定めています。緩和の対象は「高さ50cm以下」の手すり等に限られ、突き出しが10cmを超える場合は超過分を幅から差し引いて算定します(10cmを限度として除外できる、という意味です)。実務では、手すりのブラケット出寸法を含めて正確に測り、算定後の有効幅が必要な基準を満たすことを確認します。
踊場と中間手すりの設置基準
踊場の設置高さと踏幅(令24条)
令24条第1項は、踊場の設置高さの基準を2つに分けています。令23条表の(一)または(二)に該当する階段は高さ3m以内ごと、それ以外((三)(四))の階段は高さ4m以内ごとに踊場が必要です。小学校・中高等の学校階段は(一)(二)に該当するため3m基準ですが、これは学校階段全般に一律の基準ではなく、区分(一)(二)に紐づく基準です。
令24条第2項は「前項の規定によつて設ける直階段の踊場の踏幅は、1.2m以上としなければならない」と定めています。1.2m以上という数値は直階段(踏み替えのない直線状の階段)の踊場に限定される規定です。折れ階段や回り階段の踊場については、この条項がそのまま適用されるとは限らないため、形状に応じて個別に確認します。
階段幅3m超の中間手すり(令25条3項)
令25条第3項は「階段の幅が3mをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが15cm以下で、かつ、踏面が30cm以上のものにあつては、この限りでない」と定めています。小学校(蹴上げ16cm以下)・中高等(蹴上げ18cm以下)の標準的な階段寸法では、この「けあげ15cm以下かつ踏面30cm以上」という免除条件を通常満たさないため、幅3m超の学校階段には中間手すりの設置が必要になります。
複合施設・大学等での階段区分の確認
物品販売店舗・劇場等に適用される基準の位置づけ
令23条表(二)は、中学校等の生徒用階段と、床面積1,500㎡超の物品販売店舗・劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場の客用階段を同じ号にまとめて規定しています。両者が同じ数値(140cm以上・18cm以下・26cm以上)になるのは、条文上この2つの用途が同一区分に列挙されているためで、「公共性の高さ」という別の理由から独自に導かれる基準ではありません。異なる用途が避難経路を共用する場合は、経路上の各階段がどの区分に該当するかをそれぞれ確認し、区分が異なる階段が混在する場合はより厳しい方の基準を採用します。
大学・専修学校の階段区分は個別に確認する
前述のとおり、大学・専修学校は令23条表の(一)(二)に条文上明記されていません。大学の校舎を計画する場合、対象階段が(三)(直上階居室200㎡超等)または(四)(それ以外)のどちらに該当するかを、居室の床面積・階の位置から個別に確認します。「大学だから140cm以上」という判断はせず、条文の区分に照らして必要な幅員を確定します。
学校施設整備指針との関係
整備指針は法令を上回る推奨基準
文部科学省の学校施設整備指針は、建築基準法の最低基準を満たした上で、より使いやすい学校施設を計画するための行政指針(推奨基準)です。法的な強制力を持つ建築基準法施行令の数値とは性格が異なり、指針が示す踏面28〜30cm程度といった数値は、義務ではなく推奨として扱います。確認申請の審査対象になるのは建築基準法令の基準であり、整備指針への適合は発注者(教育機関・自治体)との協議で個別に決めます。
設計時に確認するチェックリスト
階段区分の確定手順
- 対象階段の用途(学校の種別・居室面積・地上/地下)を確認し、令23条表の(一)〜(四)のどれに該当するかを特定する
- 屋外階段・住宅の階段に該当する場合は、令23条ただし書きの緩和(90cm/60cm、蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上)の対象かを確認する
- 踊場の設置高さ基準((一)(二)は3m、(三)(四)は4m)と、直階段の踊場踏幅(1.2m以上)を確認する
- 階段幅が3mを超える場合、中間手すりの要否(けあげ15cm以下かつ踏面30cm以上なら免除)を確認する
- 手すり等による有効幅の算定(高さ50cm以下・幅10cmを限度に除外)を、実測のブラケット寸法込みで確認する
学校の階段に関するよくある質問
学校の階段で幅が3mを超える場合、中間手すりは必須ですか?
令25条第3項により、幅3mを超える階段には原則として中間手すりが必要です。ただし「けあげ15cm以下かつ踏面30cm以上」の階段は免除されます。小学校(蹴上げ16cm以下)・中高等(蹴上げ18cm以下)の標準的な寸法ではこの免除条件を満たさないため、通常は中間手すりが必要になります。
手すりの突き出しは、階段の有効幅の計算にどう影響しますか?
令23条第3項により、高さ50cm以下の手すり等は、幅10cmを限度として「ないもの」とみなして幅を算定できます。突き出しが10cm以内であれば全部を除外できますが、10cmを超える場合は超過分を差し引いて計算します。
建築基準法と文部科学省の学校施設整備指針では、どちらを優先すべきですか?
建築基準法(施行令23条〜25条)は確認申請で審査される法的な最低基準で、必ず満たす必要があります。学校施設整備指針はこれを上回る推奨基準で、法的な義務ではありません。両者は矛盾するものではなく、法令の基準を満たした上で、指針を参考に発注者と協議しながら設計の質を高めるという関係です。
まとめ
学校の階段幅は、建築基準法施行令第23条の表(一)〜(四)の区分ごとに数値が決まっており、「学校ならすべて140cm・18cm以下」という一律の理解は正確ではありません。大学・専修学校は(一)(二)に条文上含まれないため個別確認が必要です。踊場(令24条)・中間手すり(令25条)も、階段の区分・高さ・幅によって適用条件が変わります。
| 項目 | 基準 | 一次根拠 |
| 小学校児童用(一) | 140cm以上/16cm以下/26cm以上 | 施行令23条1項表(一) |
| 中高等生徒用・一定規模店舗等(二) | 140cm以上/18cm以下/26cm以上 | 施行令23条1項表(二) |
| 地階・大規模地上階等(三) | 120cm以上/20cm以下/24cm以上 | 施行令23条1項表(三) |
| それ以外(四)・大学等はここに該当し得る | 75cm以上/22cm以下/21cm以上 | 施行令23条1項表(四) |
| 踊場設置高さ | (一)(二)は3m以内ごと、それ以外は4m以内ごと | 施行令24条1項 |
| 中間手すり | 幅3m超で必須(けあげ15cm以下かつ踏面30cm以上は免除) | 施行令25条3項 |
同じ現場では、非常用進入口の設置基準など、避難安全に関わる隣接論点も合わせて確認すると、階段単体では見落としがちな要件を防げます。