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地震層せん断力係数Ciとは|令88条・告示1793号と地下部分の水平震度k

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結論 — 地上部分はCi、地下部分は水平震度kで分けて計算する

地上部分の地震層せん断力係数は、建築基準法施行令第88条第1項のCi=Z・Rt・Ai・Coで求めます。Ciは地上部分の各高さで、その高さが支える部分の地震力を算定する係数です。

地下部分の各部に作用する地震力は、同条第4項の水平震度k≧0.1(1−H/40)Zを用います。Hは地盤面からの深さで、20mを超える場合は20mとして計算します。地上用のCiと地下用のkは使い分けます。

Coは原則0.2以上です。令第82条の3第2号の必要保有水平耐力を計算する場合は1.0以上、特定行政庁が指定する著しく軟弱な区域内の一部木造建築物は0.3以上です。法令確認日:2026年10月19日。

地震層せん断力係数Ciは地上部分の地震力を高さ別に計算する係数

令88条1項の式と、地上部分が支える重量

施行令第88条第1項は、地上部分の地震力を各高さで、その高さの部分が支える建築物全体の地震力として計算するよう定めています。地震層せん断力係数の式はCi=Z・Rt・Ai・Coです。

設計計算では、i階の高さにおける地震層せん断力をQi=Ci×Wiと表します。Wiはその高さの部分が支える部分の固定荷重と積載荷重の和です。施行令第86条第2項ただし書に基づく多雪区域では、積雪荷重も加えます。Qiは力、Ciは係数、Wiは重量として扱い、三つを同じ量として説明しません。

Ciは震度階や地表面加速度ではない

Ciは、法令に定める地上部分の地震力を算定するための層せん断力係数です。気象庁の震度階、地表で観測する加速度、地震そのものの規模を表す値ではありません。Qiも地震のエネルギーではなく、建築物に作用する水平力です。

Z、Rt、Ai、Coは同じ役割の倍率ではありません。地域の区分、固有周期と地盤、建物高さ方向の分布、標準せん断力係数という別々の条件を式に入れます。

ZとCoは地域区分と算定条件を示す

Zは告示第一の表で地域ごとに選ぶ

施行令第88条第1項は、Zを地震記録や地震活動などに応じて大臣が定める1.0から0.7までの数値としています。具体的な地域区分は、昭和55年建設省告示第1793号第一の表で確認します。

告示第一の区分Z確認方法
(一)1.0(二)から(四)に掲げる地域以外
(二)0.9告示が列挙する市町村・郡・県
(三)0.8告示が列挙する市町村・郡・県
(四)0.7沖縄県

例えば告示第一(二)に掲げる高知県は0.9、沖縄県は0.7です。(二)と(三)は県全域ではなく市町村等を列挙する箇所もあります。市町村名を含む全区分は告示の表で照合し、地震リスクの印象から値を推定しません。

Coの0.2・0.3・1.0は適用条件が異なる

施行令第88条第2項の原則はCo≧0.2です。Co≧0.3となるのは、特定行政庁が指定する「地盤が著しく軟弱な区域」内にある木造建築物のうち、令第46条第2項第1号の基準に適合する建築物を除いたものです。鉄骨造を含むすべての建物に0.3を当てる規定ではありません。

施行令第88条第3項では、令第82条の3第2号の規定により必要保有水平耐力を計算する場合、Coを1.0以上とします。これは標準せん断力係数の法定条件で、地表面加速度が重力加速度と同じという意味ではありません。令第82条の3第2号は必要保有水平耐力をQun=Ds・Fes・Qudで計算する規定で、令第88条第3項がCoの条件を定めています。

振動特性係数Rtは建築物の周期Tと地盤種別から求める

告示第二のRtの式と設計用一次固有周期T

告示第1793号第二は、Tと地盤種別に応じてRtを次のように定めます。

条件Rt
T<Tc1
Tc≦T<2Tc1−0.2(T/Tc−1)2
2Tc≦T1.6Tc/T

通常の算定に用いる設計用一次固有周期はT=h(0.02+0.01α)です。hは建築物の高さ、αは柱及びはりの大部分が木造又は鉄骨造である地上階の高さの合計をhで除した比です。ここで使うαは、Aiの式に出てくるαiとは別の値です。

告示は、特別な調査又は研究に基づく振動特性によりRtを低減できる場合も定めています。基礎及び基礎ぐいが地震時に変形しないものとして構造耐力上主要な部分の初期剛性を用いることなどの条件があり、通常式の値に4分の3を乗じた値を下回ることはできません。

Tcの地盤区分には地層と調査条件がある

Tcは建築物の基礎底部の直下(剛強な支持ぐいを用いる場合は杭先端直下)の地盤種別で選びます。告示第二の表は次のように定めています。

  • 第一種・0.4秒:岩盤、硬質砂れき層その他主として第三紀以前の地層、又は調査・研究により同程度の地盤周期が確認されたもの。
  • 第二種・0.6秒:第一種及び第三種以外のもの。
  • 第三種・0.8秒:腐植土・泥土等を主とする沖積層で深さがおおむね30m以上のもの、又は沼沢・泥海等を埋め立てて深さがおおむね3m以上かつ埋立てからおおむね30年を経過していないもの等。調査・研究で同程度の地盤周期と認められるものも含みます。

「硬い/軟らかい」という印象だけで地盤種別を決めず、告示の定義と、設計対象の地盤調査・構造計算で採用する根拠を照合します。告示第四は、著しく軟弱な区域の指定基準を、第二の表の第三種地盤に該当する区域と定めています。

Aiは地上部分の地震層せん断力係数の高さ方向分布を表す

告示第三の式ではαiとTを区別する

告示第1793号第三の式はAi=1+(1/√αi−αi)×2T/(1+3T)です。αiは、Aiを求める高さの部分が支える固定荷重と積載荷重の和を、建築物の地上部分の固定荷重と積載荷重の和で除した数値です。指定多雪区域では、αiの分子・分母に積雪荷重も加えます。Tには告示第二のTを使います。

ここでのαiは、地上部分のうちどれだけの重量をその高さが支えるかを示す比です。Tを求める式のα(木造・鉄骨造の地上階高さの割合)とは異なります。二つのαを同じものとして式に入れないでください。

上階ほどAiが大きくなる傾向を係数の分布として読む

高い位置ほど、その位置が支える地上部分の重量は小さくなるため、通常の建物ではαiが小さくなり、告示の式ではAiが大きくなります。これは各高さに配分する層せん断力係数の分布です。「上階の加速度がAi倍になる」又は「揺れの増幅率を直接示す」と読み替える式ではありません。

告示第三は、地震時に基礎及び基礎ぐいが変形しないものとして構造耐力上主要な部分の初期剛性を用いた、特別な調査又は研究に基づく算出も認めています。その算定を使う場合は、採用した方法と適用条件を構造計算書で確認します。

QiとWiは荷重の種類・計算対象をそろえて確認する

固定荷重・積載荷重と積雪荷重を分ける

令第84条は固定荷重を建築物の実情に応じて計算するよう定め、令第85条は積載荷重について実情に応じた計算を原則としています。同条の表には、床、大ばり・柱・基礎、地震力を計算する場合の別欄があります。用途と計算対象に合う欄を使い、地震力の重量を一律に「床荷重より何割減」とは扱いません。

令第83条は固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力のほか、建築物の実情に応じて土圧、水圧、振動、衝撃を採用することを定めます。地震力を式に入れるときは、何の荷重を含めたWiかを、構造計算書の荷重表・各階重量と合わせます。

最下層の層せん断力とベースシアを混同しない

層せん断力は、その高さで支える部分に作用する地震力です。最下層で建物上部の力を受ける層せん断力が、全体のベースシアを確認する値となります。ただし「1階のCiが建物全体の安全性を保証する」とは言えません。地上部の各階について、それぞれのCi、Wi、部材の応力・耐力を設計計算の条件に沿って確認します。

地下部分は地上部のCiではなく水平震度kで計算する

令88条4項の最低水平震度

地下部分の各部に作用する地震力は、固定荷重と積載荷重の和に水平震度kを乗じて計算します。令第88条第4項の式はk≧0.1(1−H/40)Zです。Hは地下部分の各部の地盤面からの深さ(m)、Zは同条第1項のZです。荷重は令第88条第4項が定める固定荷重と積載荷重の和です。

Hは20mで頭打ち、適切な振動評価による計算もある

Hが20mを超える場合、令88条第4項の式ではHを20mとして扱います。深くなるほどこの式の係数を際限なく小さくする読み方はしません。同項ただし書は、地震時の建築物の振動性状を適切に評価して計算できる場合、その計算によることを認めています。

地下階の層せん断力には地上から伝わる力も関係する

令88条第4項の水平震度による地震力と、地下階の層せん断力全体は区別します。建設省住宅局建築指導課長の昭和56年5月1日通達(住指発第96号)は、地下部分の層せん断力は原則として、水平震度で計算した地震力に地上部分から伝わる地震層せん断力を加えて求めると説明しています。同通達は地下部分を、地階かどうかだけでなく、振動性状等から地下部分とみなせる部分として扱う旨も示しています。

同じ現場で隣に確認する項目

地震力の計算では、固定荷重・積載荷重の根拠となる鉛直荷重の内訳も確認します。床の構造、支持条件、床に作用する荷重を追う場合は、鉛直荷重の種類と単位、スラブの定義と構造上の役割をあわせて確認できます。

CiはZ、Rt、Ai、Coの積ですが、設計対象や地盤・荷重の条件を省いた万能の安全指標ではありません。地上部分の式、地下部分の式、令第82条の3第2号の必要保有水平耐力計算を、該当する規定ごとに分けて読みます。令第82条の5の限界耐力計算も別の構造計算規定です。

出典

法令・告示の確認日:2026年10月19日。個別の設計では、地域指定、地盤調査、構造計算ルート及び構造計算書の条件を照合してください。