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鉛直荷重とは?固定・積載・積雪荷重と単位を条文から確認

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鉛直荷重は、建築物に鉛直方向、つまり重力の向きに作用する荷重です。建築基準法施行令では、固定荷重・積載荷重・積雪荷重だけでなく、風圧力や地震力なども「荷重及び外力」として区別されています。

先に答え:固定荷重は建物各部の自重、積載荷重は人や家具など用途に応じて変わる荷重、積雪荷重は屋根の水平投影面積・垂直積雪量・積雪の単位荷重から計算する荷重です。数値を使うときは、対象部位、単位、荷重の種類、条文の表の欄を一組で確認します。

この記事では、令83条から86条の原文を入口に、N・kN・kgの違い、用途別積載荷重の3欄、簡単な計算例、固定荷重と積雪荷重の確認順を整理します。実建物の構造安全や部材断面を、この記事だけで保証するものではありません。

鉛直荷重の定義と実務で知っておくべき重要性

鉛直荷重は「真下向きの力」と説明できますが、構造計算では固定荷重、積載荷重、積雪荷重を分けて扱います。どの部材へ、どの面積で、どの荷重経路を通って伝わるかを整理しないと、同じ数値でも意味が変わります。

重力の向きとしての鉛直方向

鉛直方向は、建物を設置する場所で重力が作用する向きです。日常の説明では水平面に対して直角な方向と捉えれば足ります。荷重を計算するときは、質量と力を混同せず、採用する単位系をそろえます。

ここでいう鉛直荷重は重力の向きの力を指します。風圧力や地震力は建物へ作用する外力ですが、鉛直荷重と同じものとして足し合わせず、条文・計算書の対象を分けて確認します。

質量・重量・N・kN・kgfの違い

kgは質量の単位、NやkNは力の単位です。kgの数値をそのまま「荷重」と書かず、必要なら力へ換算します。標準重力加速度を使う単位換算では、1kgf=9.80665N、1kN=約101.97kgf(概算で102kgf)です。

表記意味確認
kg質量物体の量。力ではない
N・kN力・荷重構造計算や令85条の表で使う単位
kgf力の旧単位1kgf=9.80665Nとして換算

現場の概算で102kgfを使う場合も、計算書へ戻すときは、質量・力・面積・荷重経路のどれを表しているかを明記します。「約300kg載せられる」という言い方だけで、床の許容性能を判断しないでください。

建築基準法施行令83〜86条で荷重の種類を分ける

令83条は、建築物に作用する荷重及び外力として、固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力を採用するよう定めています。さらに、建築物の実況に応じて土圧・水圧・振動・衝撃による外力も採用します。

「鉛直荷重は固定・積載・積雪の3種類」と短く整理することはできますが、条文上の荷重及び外力はそれだけではありません。風圧力・地震力・実況に応じた外力を別枠で確認します。

固定荷重(DL)は建物の実況に応じて計算する

令84条は、建築物の各部の固定荷重を、その建築物の実況に応じて計算すると定めています。一定の屋根、天井、床、壁については、条文の表にある単位面積当たり荷重へ面積を乗じて計算できる場合があります。

構造部材、仕上げ材、設備、更新後に残る固定物などを、実際の仕様書・断面・カタログと対応づけます。令84条の表を使える部分と、実況計算が必要な部分を分け、コンクリートや仕上げ材の単位重量をこの記事から一律に補いません。

  • 固定される構造部材と仕上げを拾う
  • 設備機器や配管など、常時残るものを確認する
  • 令84条の表を使う場合は対象部分と備考を読む
  • 用途変更・改修で固定物が増えた場合は再計算する

積載荷重(LL)は室の用途と計算対象で欄が変わる

令85条は、各部の積載荷重を建築物の実況に応じて計算することを原則とし、室の床については表の(い)(ろ)(は)の数値に床面積を乗じて計算できると定めています。欄の意味は、(い)が床、(ろ)が大ばり・柱・基礎、(は)が地震力です。

室の種類(い)床(ろ)大ばり・柱・基礎(は)地震力
住宅の居室・寝室・病室1,800 N/㎡1,300 N/㎡600 N/㎡
事務室2,900 N/㎡1,800 N/㎡800 N/㎡
教室2,300 N/㎡2,100 N/㎡1,100 N/㎡
百貨店・店舗の売場2,900 N/㎡2,400 N/㎡1,300 N/㎡

廊下・玄関・階段、屋上広場・バルコニーには、令85条表の別の適用条件があります。柱・基礎の圧縮力については、支える床の数による低減規定もあるため、(ろ)の数値を床用や地震力用へ流用しません。

積雪荷重(SL)は地域と屋根条件を含めて計算する

令86条は、積雪荷重を「積雪の単位荷重×屋根の水平投影面積×その地方の垂直積雪量」で計算すると定めています。積雪の単位荷重は、原則として積雪量1cmごとに1㎡につき20N以上ですが、多雪区域では特定行政庁の定めを確認します。

屋根勾配による屋根形状係数、不均等な積雪、雪下ろしの慣習による扱いも条文にあります。地域名だけで積雪量を決めず、対象地の特定行政庁の規則と屋根条件を対応づけます。

実務で使う鉛直荷重の算定手順

算定前に、①構造計算の対象、②対象面積、③固定・積載・積雪の別、④単位、⑤荷重が伝わる部材を固定します。床用の積載荷重を柱用へ、屋根の雪荷重を床用へ、そのまま移すことはしません。

事務室10㎡の積載荷重だけを計算する例

令85条の事務室について、床の構造計算をする対象(い)を使い、床面積10㎡と仮定します。積載荷重は、2,900N/㎡×10㎡=29,000N=29kNです。

これは事務室の積載荷重だけの機械的な例です。固定荷重、積雪荷重、梁や柱の負担面積、令85条2項の低減、設計上の組合せや安全性は含めていません。この29kNから実建物の梁・柱断面や安全を決めないでください。

  • 対象:事務室の床
  • 使った欄:令85条表(い)
  • 面積:10㎡
  • 計算:2,900N/㎡×10㎡=29kN

1kNとkgfを換算するときの注意

1kNは、標準重力を基準にすると約101.97kgfです。概算では102kgfと書けますが、kgは質量、kgfは力なので、単位を省略しません。構造計算書・法令表・検討メモのどこで使う値かも残します。

例えば29kNをkgfの概算へ置き換えると約2,958kgfですが、これは令85条の床用積載荷重を力の旧単位で読み替えただけです。「床が2,958kgの物体を安全に載せられる」という保証ではありません。

水平荷重・外力と鉛直荷重を混ぜない

令83条では、風圧力と地震力は固定・積載・積雪荷重とは別の外力として列挙されています。建物の検討では、それぞれの作用方向、組合せ、部材への伝達を計算書の条件で確認します。

鉛直荷重の説明へ風圧力・地震力の数値を足し込むだけでは、構造全体の検討にはなりません。この記事では水平力の算定式や部材断面を示さず、荷重の分類を取り違えないための入口にとどめます。

鉛直荷重の算定で見落としやすい箇所

見落としやすいのは、固定荷重の備考、積載荷重表の欄、屋上・バルコニー・廊下などの用途条件、積雪荷重の地域条件です。数値が合っていても、対象欄や適用条件が違えば別の計算になります。

改修では仕上げ、間仕切り、設備、収納などの追加を固定荷重へ反映します。用途変更では積載荷重の室種類が変わる可能性があるため、既存計算書・設計者・所管資料を確認します。

計算書へ移す前の確認メモ

次の項目を一枚にまとめ、出典と計算対象を対応づけます。

  • 荷重の種類:固定・積載・積雪・その他の外力
  • 条文と表の欄:令84条、令85条(い)(ろ)(は)、令86条など
  • 対象:床、梁、柱、基礎、地震力、屋根
  • 数値と単位:N、kN、N/㎡、kgfなど
  • 面積・荷重経路:どの床や屋根がどの部材へ伝わるか
  • 条件:用途、地域、屋根勾配、実況、低減規定の有無

長期的な負担を確認するときの最終チェック

固定荷重と積載荷重を確認するときは、常時作用するものと一時的に載るものを分け、部材ごとの荷重経路へ戻します。令85条の表を使える場合でも、対象部位と欄を記録し、床用の数値を大ばり・柱・基礎へ直接使わないことが重要です。

用途・規定・実況を三つに分ける

用途は令85条の室種類、規定は条文の計算方法、実況は実際の建物の仕様・地域・屋根条件です。三つを混ぜずに資料を並べ、判断が分かれる箇所は構造設計者や所管の確認手続きへ戻します。

鉛直荷重を現場の確認に変える実務の型

鉛直荷重の実務では、単位換算の速さより、何の値をどの欄から使ったかを残すことが重要です。数字が同じでも、床用、大ばり・柱・基礎用、地震力用では計算対象が違います。

確認順戻る資料
荷重の種類令83条・計算書の荷重一覧
固定荷重令84条・設計図書・仕上げ/設備仕様
積載荷重令85条の室種類と(い)(ろ)(は)の欄
積雪荷重令86条・対象地の特定行政庁規則・屋根条件

参照した一次資料(2026年9月12日参照):

質量ではなく力の単位を使う理由は?

荷重は力なので、NやkNで表します。kgは質量、kgfは力です。1kgf=9.80665N、1kN=約101.97kgfという関係を使う場合も、元の値と換算後の単位を併記して意味を残します。

部屋の用途で積載荷重の基準は変わる?

変わります。令85条の表は、住宅の居室、事務室、教室、店舗の売場などで数値が異なり、床・大ばり等・地震力の欄も分かれています。用途変更では、新しい室種類と既存構造への影響を設計資料で確認します。

固定荷重を正確に拾うコツは?

構造部材、仕上げ、設備、間仕切りなどを図面・仕様書・製品資料から拾い、令84条の表を使う部分と実況計算の部分を分けます。厚さや単位重量を推測で補わず、変更後の仕様を反映します。

まとめ

鉛直荷重は、建物に下向きに作用する荷重です。令83条で固定荷重・積載荷重・積雪荷重、風圧力・地震力などを分け、令84条で固定荷重、令85条で用途と計算対象別の積載荷重、令86条で地域と屋根条件を含む積雪荷重を確認します。

数字を使うときは、N・kN・kg・kgfを区別し、条文のどの表・どの欄・どの部材を対象にした値かを明記します。簡単な概算は入力・式・単位・対象範囲を残し、実建物の構造安全や部材断面の判断は、設計図書と構造設計者の検討へ戻してください。