用途変更の確認申請はいつ必要?200㎡・類似用途と工事完了届
結論 — 用途変更後が法別表第一(い)欄の特殊建築物で、用途部分の床面積合計が200㎡を超えると、確認申請が必要になるのが基本です
建築基準法87条1項は、建物の用途を変えて法6条1項1号の特殊建築物とする場合に、同号の条件を使って確認申請の要否を判定します。面積の基準は「200㎡を超える」ため、200㎡ちょうどはこの基準を超えません。令137条の18に列挙された類似用途どうしの変更は例外ですが、用途地域による例外があります。
確認申請が不要でも、用途地域・条例、既存不適格建築物に関する規定、消防法令の確認は別に残ります。「200㎡以下なら何の手続も規制もない」とは限りません。
建物の使い方を変えるときは、「確認申請が要るか」と「変更後の用途で守る規定が何か」を分けて確かめます。200㎡は用途変更の確認手続に関する境界で、建物の適法性を一律に免除する数字ではありません。
確認申請は変更後の用途と面積で判定する
建築基準法87条1項は、用途変更して同法6条1項1号の特殊建築物にする場合に、同法6条などを準用します。6条1項1号が対象とするのは、別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物のうち、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超える建築物です。
別表第一(い)欄には、たとえば劇場、患者の収容施設がある病院・診療所、ホテル・旅館・寄宿舎、学校・体育館、百貨店、倉庫、自動車車庫などが挙げられています。名称だけで決めず、同法上の用途の定義と実際の使い方を確認します。
したがって、確認するのは変更後に特殊建築物の用途に供する部分です。建物全体の延べ面積だけで200㎡超かを判定したり、改修工事をする場所だけを面積にしたりする条件ではありません。複数用途がある建物では、用途の分類と面積のまとめ方を図面で示し、特定行政庁または指定確認検査機関に確認します。
| 確認項目 | 見る対象 | 条件 |
| 用途 | 法別表第一(い)欄に掲げる特殊建築物か | 該当する |
| 面積 | その用途に供する部分の床面積合計 | 200㎡超 |
| 類似用途 | 令137条の18の組合せと用途地域 | 例外に当たらない |
この200㎡の基準は、平成30年法律第67号による改正で、従来の100㎡超から200㎡超へ見直され、2019年6月25日に施行されました。この条件に当たり、類似用途の例外にも該当しない用途変更は、工事に着手する前に確認申請を行い、確認済証の交付を受けます。200㎡以下であることだけで、用途地域や既存建築物の規定まで不要になるわけではありません。
類似用途は令137条の18に書かれた組合せで見る
「似た使い方だから類似用途」と現場で判断するのではなく、建築基準法施行令137条の18第1項に列挙されたグループを確認します。法87条1項の確認申請に関する類似用途は次の組合せです。
- 劇場・映画館・演芸場
- 公会堂・集会場
- 患者の収容施設がある診療所・児童福祉施設等
- ホテル・旅館
- 下宿・寄宿舎
- 博物館・美術館・図書館
- 体育館・ボーリング場・スケート場・水泳場・スキー場・ゴルフ練習場・バッティング練習場
- 百貨店・マーケット・その他の物品販売業を営む店舗
- キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バー
- 待合・料理店
- 映画スタジオ・テレビスタジオ
令137条の18には地域によるただし書もあります。たとえば、同条第3号・第6号の用途に供する建築物が第一種・第二種低層住居専用地域または田園住居地域にある場合、第7号の用途に供する建築物が第一種・第二種中高層住居専用地域または工業専用地域にある場合、第9号の用途に供する建築物が準住居地域または近隣商業地域にある場合は、類似用途の扱いから外れます。用途のグループだけでなく、敷地の用途地域も照合してください。
この類似用途の扱いは確認申請についてのものです。法87条2項の用途地域等の規定まで一律に外すものではありません。また、既存不適格建築物の一部規定に関する法87条3項では令137条の19が別の類似用途を定めています。令137条の18の組合せを、そのまま他の規定に当てはめないでください。
200㎡以下でも用途地域・既存不適格・消防法令を確認する
法87条2項 — 用途地域や条例の制限
法87条2項は、用途変更について用途地域の建築制限(法48条)などを準用しています。用途によっては、その用途地域では建築できない場合や、特定行政庁の許可を要する場合があります。地区計画等の条例に基づく規定も、条文が挙げる範囲で確認します。確認申請が不要という結果だけで、用途地域上の可否を決めないでください。
法87条3項 — 既存不適格建築物に関係する規定
法3条2項により、規定の施行・適用時に既に存在するか工事中で、その規定に適合しない部分について適用除外を受けている建築物の用途を変更すると、法87条3項が指定する規定を準用することがあります。対象には、法27条、28条1項・3項、29条、30条、35条から35条の3まで、36条の一部、48条、51条や、対応する条例規定が含まれます。避難・防火、採光・換気、内装など、変更後の用途で関係する規定を確認します。
ただし、法87条3項には増築等をする場合、令137条の19第1項の類似用途間で工事をしない場合または大規模でない工事の場合、用途地域関係の変更が同条第2項の範囲内である場合などの例外があります。令137条の19第1項は、令137条の18第8号から第11号までの用途(百貨店等、キャバレー等、待合・料理店、映画・テレビスタジオ)に加え、①劇場・映画館・演芸場・公会堂・集会場、②病院・有床診療所・児童福祉施設等、③ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎、④博物館・美術館・図書館の組合せを定めます。令137条の18とは別の一覧です。同条第2項には用途地域に関する特定の用途間の変更や、原動機出力・機械台数・容器容量・用途部分面積が基準時の1.2倍を超えない等の条件があります。法87条4項は、既存不適格建築物に関する法86条の7第2項・第3項の一部を、用途変更にも準用します。どの規定が適用されるかは、建築当時の法令、現在の用途、変更後の用途、工事内容を照合して判断します。法27条に関係する用途には令115条の3が定める類似用途もありますが、これは法87条1項の確認申請を除外する令137条の18の一覧とは別です。用途変更だけで既存建物のすべてに現行基準が一律に遡及する、という意味ではありません。
消防法令 — 建築基準法とは別の用途区分で確認
消防法17条は、政令で定める防火対象物の関係者に、消防用設備等を技術基準に従って設置・維持することを求めています。消防法8条の防火管理者等も、消防法施行令1条の2などが定める用途・規模・収容人員に応じて判定します。建築基準法の別表第一と消防法施行令別表第一は別の分類です。用途変更後の消防法上の区分、必要な設備、防火管理者の要否を所轄消防署に確認してください。市町村の火災予防条例による基準もあります。
国土交通省の2019年改正案内も、200㎡以下の用途変更で建築確認が不要になっても、建築基準法や消防法等への適合は引き続き必要と説明しています。
確認申請後は完了検査でなく工事完了届を提出する
法87条1項は、用途変更に法7条1項を準用する際、完了時の「検査の申請」を建築主事等への「届出」に読み替えています。建築基準法施行規則4条の2は、この届出を別記第20号様式の「用途変更に関する工事完了届」とし、工事完了日から4日以内に建築主事等へ到達するよう求めています。したがって、この用途変更の手続は完了検査の申請とは異なります。
ここで説明した工事完了届は、法87条1項の確認手続に伴う届出です。用途変更に伴って増築・大規模修繕なども行う計画では、その工事自体に必要な確認申請や完了検査を別に整理します。
計画の初期に確認する順序
- 用途変更後の使い方を整理し、建築基準法別表第一(い)欄の特殊建築物に当たるか確認する。
- 変更後の特殊建築物用途に供する部分の床面積を集計し、200㎡を超えるか確認する。
- 令137条の18の類似用途と用途地域の例外を確認する。
- 法87条2項・3項、自治体条例、消防法令に別の制限や手続がないか確認する。
- 確認申請が必要なら用途変更計画の確認を受け、工事完了後に工事完了届を提出する。
面積・用途の分類が複合している、既存不適格の経緯が不明、または条例の適用が分かれる場合は、確認済証や過去の図面・検査記録を添えて特定行政庁、指定確認検査機関、所轄消防署へ照会します。
同じ現場で隣に確認する項目
出典・確認日
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第3条第2項、第6条第1項第1号、別表第一(い)欄、第7条第1項、第48条、第86条の7第2項・第3項、第87条第1項から第4項:e-Gov法令検索(現行条文)
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第115条の3、第137条の18、第137条の19:e-Gov法令検索(現行条文)
- 建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号)第4条の2、別記第20号様式:e-Gov法令検索(現行条文)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条、第17条:e-Gov法令検索(現行条文)
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2、別表第一:e-Gov法令検索(現行条文)
- 平成30年法律第67号による改正(確認申請の境界を100㎡超から200㎡超へ変更):国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)の概要」
- 同改正の施行日(令和元年6月25日):国土交通省「改正建築基準法が6月25日から全面施行されます」
- 200㎡以下で建築確認が不要でも建築基準法・消防法への適合が必要との案内:国土交通省「小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました」
確認日:2026年10月。個別計画では、用途変更前後の用途、面積、工事内容、建築時期、敷地の用途地域、消防法上の区分を確定してから適用条文を照合してください。