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界壁とは?防火・遮音の基準と強化天井の例外を整理

結論 — 界壁は防火と遮音をそれぞれ満たす

長屋・共同住宅の各戸を分ける界壁には、防火側では令114条1項(同項が除外する部分を除く)の準耐火構造と小屋裏・天井裏への到達、遮音側では法30条と令22条の3の3つの周波数ごとの透過損失が関係します。壁の構造方法は昭和45年建設省告示1827号の現行改正内容か、大臣認定で確認します。

遮音側は、法30条2項と告示1827号第3の条件を満たす天井なら、界壁を小屋裏・天井裏まで延ばす要件を省略できる場合があります。一方、防火側の到達要件は令114条1項と令112条4項の条件で別に判定します。強化天井の遮音ルートと防火区画の例外は同じ規定ではありません。

法令・告示の確認日:2026年10月19日。個別の界壁は、住戸の区分、構造計算・確認図書、採用する告示仕様又は大臣認定書に合わせて照合します。

本文の基準日と11月1日の改正:本文は2026年10月19日の施行中条文を基にしています。9月16日公布の令和8年政令第284号は、11月1日から本文で参照する令112条4項の対象条件に大臣指定の除外規定を追加します。詳細を定める関係告示は10月19日時点では案です。11月1日以後の設計・申請では、改正後条文と公布された告示の適用条件を確認してください。改正概要・施行日/関係告示案。

界壁に求められる防火と遮音を分ける

ここで扱う界壁は、長屋又は共同住宅の各戸の界壁です。法30条は遮音性能と小屋裏・天井裏への到達を、令114条1項は準耐火構造と小屋裏・天井裏への到達を定めています。同じ「壁を上まで延ばす」という形でも、音を伝えにくくする条件と火の広がりを防ぐ条件は別々に確認します。

見る条件主な根拠確認すること
防火令114条1項、令112条4項準耐火構造、天井裏等への到達、該当する区画例外
遮音法30条、令22条の3125Hz・500Hz・2,000Hzそれぞれの透過損失
告示仕様昭45建告1827号、平28国告694号壁又は天井の構造方法、開口部の条件

防火側は令114条1項と令112条4項を読む

令114条1項は準耐火構造と小屋裏等への到達を定める

令114条1項は、長屋・共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他、防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分を除く。)を準耐火構造とし、令112条4項各号に該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏まで達するよう定めています。令112条4項で使う「自動スプリンクラー設備等設置部分」は、床面積200㎡以下の階、又は200㎡以内ごとに準耐火構造の壁・防火設備で区画した部分に、自動式のスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備等を設けたものです。

ここには「強化天井なら界壁の防火要件を一律に免除する」というただし書はありません。令112条4項の対象になる部分について、同項各号の条件に合うかを確認します。したがって、スプリンクラー等があるというだけで、建物内のどの界壁も対象外になるわけではありません。面積・区画・設備の条件を同時に確認します。

強化天井による防火上の例外は令112条4項の条件で判定する

令112条4項は、同項が列挙する構造・用途の建築物で延べ面積が500㎡を超える場合に、500㎡以内ごとの一時間準耐火基準による区画などを定めています。すべての長屋・共同住宅に共通する「500㎡ごとの界壁」規定ではありません。

同項は、小屋裏・天井裏への到達についても二つの例外を定めています。天井の全部が強化天井である階、又は準耐火構造の壁若しくは防火設備で区画された部分で天井が強化天井である箇所です。令114条1項の「令112条4項各号に該当する部分」は、このような防火上の条件を指します。法30条2項の遮音による例外とは別に照合します。

準耐火構造の具体仕様は、該当する部位・要求時間に合う平成12年建設省告示1358号の構造方法又は大臣認定で確認します。令114条1項の「準耐火構造」と、令112条4項が明記する「一時間準耐火基準」は同じ表現ではありません。45分の構造方法や認定を、1時間の要件と読み替えないでください。

遮音側は125Hz・500Hz・2,000Hzを別々に満たす

法30条1項1号は、隣接住戸の日常生活音を衛生上支障がないように低減する性能を求め、国土交通大臣が定めた構造方法又は大臣認定に適合するよう定めています。技術的基準を定める令22条の3は、次の3周波数それぞれで最低値以上の透過損失を求めます。

振動数必要な透過損失
125Hz25dB以上
500Hz40dB以上
2,000Hz50dB以上

3つの数値は一つの平均値ではありません。3帯域のすべてに適合する必要があります。告示1827号は、下地等を有しない界壁と、下地等を有する界壁の構造方法を別に定めます。材料名だけを拾わず、厚さ・組合せ・下地等を同告示の該当号に照合します。

天井の遮音仕様は2019年と2020年の改正を区別する

法30条1項2号は界壁を小屋裏又は天井裏まで達するよう定めます。法30条2項は、天井そのものが令22条の3の遮音基準に適合する大臣指定の構造方法又は大臣認定である場合に限り、1項2号の到達要件を適用しないと定めています。これは遮音側の例外で、令114条1項の防火要件を外す規定ではありません。

告示1827号は2019年の告示第200号で題名を「界壁及び天井の構造方法」に改め、天井の構造方法を追加しました。追加された方法は、厚さ9.5mm以上のせっこうボードと、その裏側に厚さ10cm以上のグラスウール(かさ比重0.016以上)又はロックウール(かさ比重0.03以上)を設ける構成です。

2020年2月27日告示第200号は、告示1827号第3の選択肢に平成28年告示第694号の強化天井を追加しました。告示694号第1号の強化せっこうボードは、原紙を除く部分のせっこう含有率95%以上、ガラス繊維0.4%以上、ひる石2.5%以上のものを2枚以上張り、厚さの合計を36mm以上にする構成です。厚さ36mm以上は告示694号第1号のボード条件です。同告示は管の貫通部の隙間・管の構造、風道貫通部の防火設備、目地や取合い部の炎侵入防止も定めています。これらは、告示1827号が別に定める「開口部は遮音上有効な構造」という条件とは役割が異なります。法30条2項・告示1827号第3に基づく遮音上の選択肢として扱い、防火側の令112条4項と取り違えません。

間仕切壁や防火区画の壁とは役割が異なる

令114条2項は、学校、病院、診療所、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎、マーケット等の用途部分にある「防火上主要な間仕切壁」を対象とします。住戸間の界壁に関する同条1項とは対象が違います。寄宿舎等の用途判定は寄宿舎と共同住宅の判定で整理しています。

令112条4項の500㎡以内ごとの防火区画も、遮音性能の基準そのものではありません。部位が界壁・間仕切壁・防火区画のどれに当たるか、要求される耐火時間・遮音性能・天井の例外を、それぞれ該当条文から判断します。

同じ現場で隣に確認する項目

居室の用途・地階の扱いを確認するときは、居室の定義も照合できます。竪穴部分や階段まわりを界壁と取り違えないようにする場合は、竪穴区画を確認します。

出典

法令・告示の確認日:2026年10月19日。告示1827号は国交省掲載本文(平成16年改正まで)に令和元年・2年の新旧対照表と改正沿革を加えて確認しました。告示694号は制定時本文に平成30年告示第1098号、令和元年告示第200号、令和2年告示第201号・第508号の新旧対照表と改正沿革を照合しました。第1号のボード組成・厚さは変わっていません。第2号には、所定のパイプシャフト等の内部について「一時間」への読み替えを適用しないただし書が第201号で加わり、第508号は令112条等の参照番号を更新しています。告示1358号の国交省掲載本文は平成29年告示203号までの改正を反映した版で、その後も改正履歴があるため、掲載PDFだけを現行全文とは扱いません。構造方法を採用するときは適用される現行仕様又は大臣認定と確認図書を照合してください。