非常用照明の設置基準|対象・除外・照度1lx/2lxと予備電源
答え:非常用照明は、火災などで停電したときに避難経路の床面を照らす建築基準法上の設備です。令第126条の4で設置対象・除外を判定し、令第126条の5と告示第1830号で照度や予備電源を確認します。原則として床面1lx以上、蛍光灯又は告示に適合するLEDは2lx以上、予備電源は30分間です。
消防法の誘導灯は、避難口や避難方向を表示する別の設備です。高層等の消防法対象では60分間が必要になる場合がありますが、建築基準法の非常用照明がすべて一律に60分となるわけではありません。
設置対象は、用途・階数・規模・窓の条件で判定する
建築基準法施行令第126条の4は、次の建物の居室などに非常用照明を求めています。
- 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項の用途に使う特殊建築物の居室
- 階数3以上で延べ面積500㎡を超える建築物の居室
- 令第116条の2第1項第1号の開口条件に該当する無窓居室
- 延べ面積1,000㎡を超える建築物の居室
これらの居室から地上に通じる廊下・階段・通路(採光上有効に直接外気へ開放されたものを除く。)なども対象です。用途や規模のどれか一つに当たれば、対象居室だけでなく、地上までの避難経路を図面上で追います。
住宅の住戸や病室は除外されるが、共用部分は別に見る
令第126条の4ただし書は、一戸建て住宅、長屋又は共同住宅の住戸を除外します。共同住宅全体を対象外にする規定ではありません。共用廊下・階段は住戸そのものではないため、建物の用途・規模や対象居室から地上への避難経路に当たるかを別に判定します。
同じただし書には、病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室などや、令第126条の2で定義される学校等の除外もあります。室名だけで決めず、法令上の用途と条件を確認します。
避難階などの緩和は、告示1411号の条件を一室ごとに確認する
令第126条の4第4号は、避難階又はその直上・直下階で避難上支障がない居室などを対象から除くことを認め、具体的な基準を平成12年建設省告示第1411号に委ねています。告示は平成30年国土交通省告示第516号で改正されています。30m・20mの距離による緩和(告示第一号)は、令第116条の2第1項第1号に該当する窓その他の開口部を有する居室等が対象です。開口条件を満たすかを先に確認し、距離だけで緩和を当てはめないでください。
- 避難階の居室は、各部分から屋外への出口までの歩行距離が30m以下で、避難上支障がないこと。
- 避難階の直上・直下階の居室は、避難階の屋外出口又は屋外避難階段の出入口まで20m以下で、避難上支障がないこと。
- 床面積30㎡以下の居室は、地上への出口があるか、居室から地上までの部分に令第126条の5に適合する非常用照明があるか、又はその部分が採光上有効に直接外気へ開放されていること。ふすま・障子など随時開放できるもので仕切った二室は一室とみなすため、面積を合算して30㎡以下か確認します。
距離は建物全体でなく居室の各部分から測ります。国土交通省の宿泊施設向け設置例では、同じ建物の客室を採光有効開口と出口までの距離で個別に判定し、必要・不要を分けています。用途限定の例ですが、居室単位で条件を記録する方法を確認できます。
照度は床面で測る。1lxと2lxは器具によって違う
令第126条の5第1号は、直接照明で床面1lx以上の照度を確保することを求めています。非常用照明器具の構造方法を定める昭和45年建設省告示第1830号は、常温下の床面の水平面照度を、白熱灯等では1lx以上、蛍光灯又は告示で認めるLEDランプでは2lx以上としています。2lxは床面での基準で、目の高さや壁面の明るさではありません。
告示は器具の耐熱性・即時点灯性、配線と電源の構造も定めています。LEDなら何でも使えるわけではなく、告示に記載されたランプ形式・器具との組合せに適合する必要があります。認定を受けた性能規定の器具を使う経路もあるため、製品名だけでなく型式・取扱説明書・適合表示を確認します。
建築基準法の予備電源は30分。消防法の誘導灯は別条件
告示第1830号は、常用電源が断たれたとき自動で切り替わる予備電源を求め、蓄電池などで充電せずに30分間点灯できる容量を定めています。これは建築基準法上の非常用照明の構造方法です。
消防法の誘導灯は、避難口の位置や進む方向を表示する設備で、設置対象は消防法施行令第26条、技術基準は消防法施行規則第28条の2・第28条の3などで判定します。誘導灯の非常電源は一般に20分間、高層等の指定対象の主要避難経路では60分間が基準です。消防法施行規則第28条の2第2項第5号には、階段・傾斜路の誘導灯を、令第126条の5に適合する非常用照明で代替できる条件があります。指定対象ではその照明にも60分間の容量が必要になる場合があるため、一般の30分基準だけで代替可否を決めません。
消防庁の技術資料は、指定対象の例として、消防法施行令別表第一(一)項から(十六)項の防火対象物で延べ面積50,000㎡以上、又は地階を除く階数15以上かつ延べ面積30,000㎡以上のもの、地下街で延べ面積1,000㎡以上のものを挙げています。60分を求める場所は主要避難経路に限られます。消防法側の対象と経路を、所轄消防署の運用と原文で確かめてください。
点検では電池と点灯性能を確認する
建築基準法第12条の定期報告制度は、対象となる建築設備に非常用照明を含み、所有者・管理者に劣化状況の検査と特定行政庁への報告を求めています。対象となる建物、報告周期、検査方法は指定や自治体の規則で異なります。すべての住宅設備に同一の法定報告周期があるわけではありません。
日本照明工業会(JLMA)は、定期的に非常点灯を確認し、測定時間が非常用照明で30分以下になった場合などは蓄電池交換を勧めています。これは保守上の案内で、建築基準法第12条の報告周期とは別です。同工業会のJIL適合マークは、JIL5501に適合する器具の自主評定を示します。器具の適合表示を確認したうえで、設置位置・照度・避難経路を現場で照合します。
同じ現場で隣に確認する項目
出典・確認日
- 建築基準法第12条:e-Gov法令検索
- 建築基準法施行令第116条の2、第126条の4・第126条の5:e-Gov法令検索
- 非常用照明の構造方法(昭和45年建設省告示第1830号。改正を含む現行掲載本文):国土交通省・告示本文
- 非常用照明を要しない部分(平成12年建設省告示第1411号):国土交通省・告示本文、平成30年国土交通省告示第516号・改正告示
- 消防法施行令第26条、消防法施行規則第28条の2・第28条の3:消防法施行令、消防法施行規則
- 大規模・高層防火対象物の60分非常電源等:消防予第245号「誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドライン」(平成23年9月21日):消防庁・技術資料
- 非常用照明の配置例(宿泊室ごとの判定):国土交通省・設置例
- 非常用照明器具の点検・電池交換に関する業界案内:日本照明工業会(JLMA)Q&A、JIL5501適合の自主評定
- 建築基準法第12条の定期報告制度(非常用照明を含む建築設備):国土交通省
確認日:2026年9月28日。個別計画では、用途・規模・避難経路と所在地の特定行政庁・所轄消防署の指定を照合してください。