ビルドベース

建築・土木の実務用語・法規・資格の「答え」と「根拠」に最短で辿り着く専門メディア

内装制限とは?対象建物・室と仕上げを令128条の4・5で整理

結論 — 内装制限は用途・規模・室で対象が決まり、仕上げは壁と天井に求められる

建築基準法35条の2は、特殊建築物、一定規模以上の建築物、無窓居室のある建築物、火気使用室などを対象に、壁・天井(天井がない場合は屋根)の室内側仕上げを防火上支障のないものとするよう求めています。具体的な対象と材料は、令128条の4で対象範囲を確認し、令128条の5で仕上げを確認する順です。

同じ用途でも、建物の構造・階数・用途部分の床面積で必要な材料が変わります。令128条の5第1項の壁の1.2m除外や、火気使用室の告示による代替仕上げも、その項・室の条件に合う場合だけです。

内装制限を「全部の壁を準不燃にする決まり」とひとまとめにすると、対象外の部位まで直したり、逆に必要な箇所を見落としたりします。対象となる建築物・室、仕上げる部位、材料の区分を条文ごとに切り分けます。

法35条の2で対象になり得る建物・室は5つの入口から見る

法35条の2に挙がる入口は次のとおりです。ただし、特殊建築物や規模の条件には令128条の4による除外があります。法35条の2だけを読んで全ての候補が制限対象と決めず、令128条の4の用途・構造・面積条件まで照合してください。

  • 法別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物
  • 階数が3以上の建築物
  • 令128条の3の2が定める窓その他の開口部を有しない居室がある建築物
  • 延べ面積1,000㎡を超える建築物
  • かまど・こんろ等の火を使用する設備又は器具を設けた調理室・浴室等

令128条の3の2の無窓居室には、天井高6m以下で床面積50㎡を超え、開放できる開口部分が床面積の50分の1未満となる室などが含まれます。条文には排煙上有効な給気口・排気口がある場合の別算定や、法28条ただし書に係る居室も規定されているため、単に窓が小さいという見た目では判定しません。

特殊建築物は用途・構造・用途部分の床面積で判定する

令128条の4は「制限を受けない特殊建築物等」の条文ですが、第1項は法35条の2で対象となる特殊建築物を「次に掲げるもの以外」と定めています。そのため次表の用途・構造・規模に当たる建物は例外ではなく、令128条の5第1項の仕上げ要求の対象側です。ここで見る面積は建物全体・各階全体とは限らず、客席や用途に供する階の部分など、表に書かれた集計範囲です。

法別表第一の用途建築物の構造区分集計する面積対象となるしきい値
(い)(一)劇場・映画館等耐火構造又は1時間準耐火基準客席の床面積合計400㎡以上
1時間未満の準耐火構造客席の床面積合計100㎡以上
その他客席の床面積合計100㎡以上
(い)(二)病院・ホテル・共同住宅等耐火構造又は1時間準耐火基準当該用途の3階以上部分300㎡以上
1時間未満の準耐火構造当該用途の2階部分(病院・診療所は患者収容施設がある場合)300㎡以上
その他当該用途に供する部分の合計200㎡以上
(い)(四)百貨店・飲食店等耐火構造又は1時間準耐火基準当該用途の3階以上部分1,000㎡以上
1時間未満の準耐火構造当該用途の2階部分500㎡以上
その他当該用途に供する部分の合計200㎡以上

令128条の4第1項は自動車車庫・自動車修理工場の特殊建築物や、別表第一(い)欄(一)(二)(四)の用途に供する居室を地階・地下工作物内に持つ特殊建築物も別に挙げています。表の閾値だけで対象を決めず、これらの条文も確認します。

令128条の5第1項は、別表第一(い)欄(二)の用途に供する特殊建築物のうち、主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)について、準耐火構造の床・壁等で100㎡以内ごと(共同住宅の住戸は200㎡以内ごと)に区画された部分の居室を除いています。面積だけでなく、対象用途・構造・区画仕様を合わせて確認します。

一般の大規模建築物は階数と延べ面積の組合せで判定する

特殊建築物の用途表に当たらなくても、令128条の4第2項・第3項の大規模建築物の条件に当たる場合があります。学校等を除き、階数3以上では延べ面積500㎡超、2階建てでは1,000㎡超、1階建てでは3,000㎡超です。ここは「以上」ではなく「超える」で、特殊建築物の用途別表とは別の判定経路です。

面積・構造・用途が複合した建築物や複数の区画がある計画では、令128条の6と令117条第2項の「別の建築物とみなす部分」が関係する場合があります。耐火構造の開口部のない床・壁で区画されているなどの条件を満たさずに、区画ごとの面積へ分けて判定しないでください。

室・通路ごとに壁と天井の仕上げを分ける

令128条の5は、対象の根拠となった建物や室に応じ、内装仕上げを定めています。

対象の根拠要求される仕上げの概要
128条の4第1項第1号の特殊建築物用途に供する居室は難燃材料相当。3階以上の対象用途居室の天井は準不燃材料相当。居室から地上へ通じる主通路は準不燃材料相当。
128条の4第1項第2号・第3号の特殊建築物用途部分又は条文の居室と、そこから地上へ通じる主通路は準不燃材料相当。
128条の4第2項・第3項の大規模建築物対象居室の壁・天井は難燃材料相当。居室から地上へ通じる主通路は準不燃材料相当。
128条の3の2の無窓居室対象居室と、そこから地上に通じる主通路は準不燃材料相当。
128条の4第4項の内装制限を受ける調理室等室の壁・天井は準不燃材料相当。

表の「相当」は告示に定める代替仕上げを含むという意味です。実際の工事では材料の認定・仕様書を確認し、材料名だけで性能を決めません。令128条の5第1項は壁について「床面から高さ1.2m以下の部分を除く。第4項において同じ。」と明記しています。したがって1.2m除外は第1項だけでなく第4項にも適用されます。この括弧書きがない第2項・第3項・第5項・第6項へ機械的に広げません。また、法35条の2の内装制限が対象にするのは壁・天井で、床仕上げではありません。

不燃・準不燃・難燃の材料名を区別する

不燃材料は建築基準法2条9号と令108条の2、準不燃材料は令1条5号、難燃材料は同条6号が根拠です。準不燃材料は通常火災の加熱開始後10分、難燃材料は5分間、令108条の2各号の要件を満たすものとして大臣が定めるか認定した材料です。不燃材料は同基準の20分間の性能に関係します。これらは異なる材料区分です。

難燃材料に準ずる仕上げとして、平成12年建設省告示1439号は、天井を準不燃材料、壁を木材等又は木材等と難燃材料の組合せとする方法を定めています。壁の木材等には、溝の禁止や厚さに応じた取付け下地などの条件があるため、「木材を張れば同じ」とは扱えません。

火気使用室は住宅の階・建物構造で対象が変わる

令128条の4第4項による火気使用室は、2階以上の住宅では最上階以外の調理室等、住宅用途以外の建築物では火を使用する設備を置く調理室・浴室・乾燥室・ボイラー室・作業室等が基本です。特定主要構造部を耐火構造とした建築物は、この項の対象から除かれています。コンロが見えるというだけで、全ての住宅の全ての階が同じ扱いになるわけではありません。

火気使用室の仕上げには、平成21年国土交通省告示第225号(令和2年告示第1593号改正後)による準不燃材料相当の組合せがあります。告示1593号は対象を令128条の4第4項の内装制限を受ける調理室等へ改めていますが、令128条の5第1項から第5項で別に仕上げを要する室や、ホテル・旅館・飲食店等の厨房などを除外しています。

告示225号は調理用コンロの一口あたりの発熱量を4.2kW以下とするなど、設備と室の条件を限定し、コンロ周辺の不燃材料・下地・遮熱等と、それ以外の部分の難燃材料等の組合せを定めています。対象範囲はコンロからの距離、天井高等で変わります。告示に示された範囲を超えて「周囲を不燃にすれば部屋全体は自由」と一般化しないでください。IH機器が令128条の4第4項の「火を使用する設備又は器具」に当たるかは、機器仕様と計画地の取扱いを確認します。

告示251号はスプリンクラーだけの一律免除ではない

令128条の5第7項は、煙又はガスが避難上支障のある高さまで降下しない部分について内装制限を適用しない仕組みを置き、その範囲を令和2年国土交通省告示第251号が定めています。告示は、間仕切りされた100㎡以下・天井高3m以上の居室、避難階等の出口や自動火災報知設備・消火設備を伴う部分、天井を準不燃材料とした部分など、条件の異なる区分を定めています。告示中には無窓居室や火気使用室など適用対象から外す部分もあります。単にスプリンクラーを設置したことだけでは、壁・天井の仕上げ義務は消えません。

現行の条番号は128条の5、129条は安全検証

内装制限の仕上げ要求は現行施行令128条の5です。現行129条は、階避難安全性能を検証した建築物の階について他の規定を適用するかを定める条文です。古い解説の「令129条」という引用を見つけたら、旧条番号か現行条番号かを、改正後の施行令本文で確認してください。

同じ現場で隣に確認する項目

出典

内装の実施設計では、確認する条項・用途部分・構造区分・仕上げ仕様を図面と材料仕様書に並べて照合してください。IH設備や複合用途、区画ごとの面積のように条文だけで適用が決まらない部分は、所管の特定行政庁または指定確認検査機関へ計画を示して確認します。